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2012/01/31

「位置情報サービスが街のサイネージを巻き込む」


川村 行治

株式会社インセクト・マイクロエージェンシー/株式会社ロケッコ 代表取締役


デジタルサイネージの課題と将来について

 2007年からデジタルサイネージのコンソーシアムができ、新聞にも電子看板、デジタルサイネージなどの言葉が出始めてきました。5年経った現在、広告を含め周辺のソフト産業が幅広く成り立っているかというとそれはまだまだ言い難い。ビジネスとしてロケーションオーナーがハードとシステムを投資し、商売を繁盛させるための「メッセージの窓」と理解した上での使い方としては成り立っていますが、いわゆるマス広告産業的な見方の「メディア」としては、まだまだな状況で、その見方だとまったく既存のマスメディアのようにまわっていないというのが現状ですね。もちろんサーキュレーションの多い駅などの交通、商業施設はそもそものプリント媒体としての広告ビジネスのリプレイスなので成り立ち易いことは現状のサイネージの展開を見れば分かりやすいです。大小様々なデジタルサイネージが、さらなるブレイクスルーした産業になる為には、リーチする場所の集合で接触面回数を換算し広告商売をすることだけではなく、もうひとつのパターンとしてデジタルサイネージならではのビジネスエコシステムを、オウンメディアとして考え創ることが必要になってくる訳です。


その際、デジタルサイネージは時間と場所がユニークということをもっと考えなくてはいけないですね。場所というのはユニークな場所であればある程、サイネージとしてはすごくいい。そのユニークさを光らせないといけない。ソーシャルメディアでいうインタレストグラフとしての「興味関心の輪の集合」に近いものがオウンサイネージメディアネットワークで大事になってくると思います。弊社はフィットネスクラブのサイネージを運営させて頂いていますが、是非新たな視点で様々なサイネージと協業していきたいので準備中です。インタレストグラフというのは人の思考とか趣味とか、何属性かという、どういうことを気にしているグループかわかるということ。リーチという頭数ではなく、好きな人や気にする人に対しメッセージや価値を作っていくことが大事であり、その形になればいいと思います。また、サイネージはプリント媒体と違う「映像表現」が可能だから、ロケーションに対してどのように長くコミュニケーションし続けることができるかということを考えることも重要になってきます。


サイネージの機能という話においては、まだまだ、「表示」することで終わっている。形容詞的表現だけで動詞になっていない。形容詞的表現というのはマスメディアのフォーマット発想であり、決まったフォーマットのなかでどれだけ美しく、楽しく、おいしそうに表現するかが正義でした。位置情報を活用し、NFCやLBS、それらを包含した媒介となるソーシャルメディアの話においては、動詞的な働きかけ、つまり態度変容が連鎖していくということが重要。どう動詞的な表現に持っていくか、人を動かす表現に持っていくかというのはとても重要な事柄だなと思います。


デジタルサイネージの媒体としての定義を広告看板と捉えるというよりは、ネットワークの出口として、どうやって街と繋がっていくかということだと改めて思います。以前DSJで建築家の方とパネルディスカッションをモデレートしましたが、都市でどうやってコミュニケーションしていくのかという中に、どうデジタルサイネージが組み込まれていってと考えると、発想が広がっていく。ネットの出口と考えてすべてのディスプレイとかスクリーンのなかでどう機能していくかって考えたら飛躍的に面白いですね。そのような中でどういうコミュニケーションが街でみんなに愛されるかということを、まだまだ探っている状態。コミュニケーションやネットワークを大きく捉えた時に、どう生活者に便益を与えるものなのか、またその為の大企業だけでない関連、周辺の産業つながり盛り上がって行くのかを考えて設計していかないとならない。デジタルサイネージは街に問いかけ関わる業界としてもっとブレイクスル―出来るはずです。

広告会社からみるデジタルサイネージについて

広告代理店は売りやすくて買いやすいものでないと広告主に提案することはできません。大体の営業マンは複数の案件やクライアントを抱えており、いつも忙しくしています。よってそのことを判断する広告主も忙しいので、根拠となるデータや解りやすさや、前例がないと買いづらい。特に景気がよければ、ちょっとやってみるかとなりますが、そんなのどかな時代ではないでしょう。
しかしながら、新しいコミュニケーション手段をいつも探しているのは事実です。


マスメディアが優秀なのは、売りやすい買いやすい指標、フォーマット、パッケージを作っていることや、規制されたマスメディア(雑誌は違いますが)産業の中で、関わるプレイヤーが少ない中で大きいお金をまわせることです。インターネットwebでの媒体化前後ももちろん大きな事件でしたが、しっかりルールを形成していった。不景気を経て結局多くのインターネット媒体プレイヤーは大手広告代理店と提携や吸収をされていったような気がします。ある程度現状の購買の秩序に入り込んでいったのです。デジタルサイネージの場合はまだそれができていない。そもそもプレイヤー、媒体面が少ない。フォーマットも入稿形態もそれぞれバラバラで、そこに時間を費やしてはいられない。

といっても最近大分、メーカーさんとか広告主の方からサイネージはどうなっているのかとかおっしゃる方が増えてきています。JRさんの寄与することは大きく、トレインチャンネルというのはサイネージの広告業界の認知度をけん引する役割になっている。でも末端のサイネージのディスプレイだったりすると、まだまだ苦戦している。売りにくく、まとまっていかないために、使いたくても使いようがない。イベントの一つになってしまっている。前段でお話したようにオウンサイネージとしての活用の仕方は、新たなビジネスのエコシステムを形成しないといけない気がします。そこには、地域の広告代理店の活躍が期待されます。

デジタルサイネージコンソーシアムについて
コンソーシアムの特徴は、サイネージの事業者だけではなく周辺のビジネスをしている企業も入っているということが利点です。様々な業態文化の人が中にいて、様々な文化の人が各部会にいるので、議論が同じトーンにならないところがメリット。私が思っていることが実は、全然角度が違う見方をすると、こうであるとか、逆に気づかされるとか、そういった意味では色んな産業の人が関わるというのは素晴らしいことです。ただ、もう少しコンソーシアム自体の発信力を高めてもいいかもしれない。DSC自体が、例えば他のメディアや、世の中のいろんなとこに関わっていくといい。まだビジネスとしては新参者のビジネス、メディアであるから、他団体とか他業種とか含めて関係しあってやっていくことが重要じゃないかと思う。

産業を健全に発展させるために第三者が証明してあげられるようにしないと商売が成り立たない、ということで指標部会というのはDSCができた当初から作られました。指標部会ができて長いが、すごく難しいテーマを預かっていると思っています。それは何故かというと、今ないビジネスに対して、どのようにやっていけばビジネスたる指標になるかということを検証しているから難しい。指標部会が目指しているところというのは、小さい商店でも、ディスプレイ1枚でやっているところでも、ちゃんとその価値を証明できるものはなんだろうかという極めて定性的なものをテーマにしています。これが難しい。定性的なことをどうやって定量化させようかというチャレンジの一つであります。一番重要なのは、小さい町でもコミュニケーションがサイネージもしくは複数のデバイスによって成立して、みなさんが豊かな生活ができる町になるというのが、サイネージが果たすべき役割だと思っている。アイシテの法則をベースにしながらもサイネージの機能を、ネットワークでやってらっしゃる方なども含めて指南できるようなサポートする資料を作っていきたいと思っています。最終的には色々なデバイスも絡めて、どうネットワークしていき、広告など大きい商売が回るかというのをサポートできたらいいなと思う。実験を踏まえてこれからサイネージのビジネスをやりたいなというお客様にも、足を踏み外すことなくノウハウを蓄積するかたちで展開されればいいのではないかと思っています。
ロケッコについて
 LBS位置情報のアプリケーションサービスで、ロケッコというのはロケーション、ローカル、コミュニケーションを合わせた造語。よく最近移動した結果をソーシャル上の友人に知らせる結果として「チェックイン」サービスがありますが、私たちロケッコはDropとCatchをくり返すというコンセプトを提示しています。このサービスはスマートフォン上の任意の場所にデジタルデータをロケーションオーナーや商売する人がDrop、=「落とす」ことができます。ユーザーはアプリケーションを起動しても、しなくても、その場所に行ったらその情報をCatchする。落とした情報は一個一個ユニークですべて違う。そのユニークな情報というのは物と一緒で、情報の所有を移転させることができる。簡単に言うとキャッチした情報を友達に渡すことができるということです。広告というのは邪魔なものではなく本来ならば生活に必要なものであり、ミスマッチということが問題で、自分よりもふさわしい人、上げたい人があれば、プレゼントすればいい。それをソーシャル上で「広告で」遊んでもらうというサービスなのです。回してもらってやっていくということで生活が便利になればいい、楽しくなればいいなと思っています。詳しくはサイトをご覧ください!http://locaco.co/
位置情報のサービスのロケッコをサイネージと繋げることについて
位置情報というのはリアルなビジネスにどう関わってくるかっていうのがポイントと思っています。ウェブの発想だと、ウェブ上にサービスを置いておき、好きな人が集まれば、いいじゃないかと思いがちですが、LBSが出現してきたことからお互いが歩み寄らなければならなくなりました。ロケッコのサービスもそのセレンディピティを大事に考えています。

自分が必要なものや好きなものが検索すればすぐ分かるというというだけではつまらない訳です。自分の知っていることだけでは、つまらないのです。

オーバーストア、オーバープロダクツで街には様々なものが溢れているが、やはり私だって、心躍らせる、自分に必要なものが欲しく、チャーミングな出会いが欲しい。その時のサイネージというのは、街に対して色んな効果をもたらすチャンスはいっぱい持っているはずだと思います。それをスマートフォンの位置情報のサービスにつなげけることによって、もっと生活者と街が繋がりだす。コミュニケーションが豊かになるということができればいいと思っています。スマートフォンだけで完結することじゃなく、サイネージだけがポツンとあるだけではなく、この2つのデバイスでリアルのビジネスや、リアルの商売している人たちと繋がって初めて完結すると思っているのです。もちろんその過程も含めて。だから実はサイネージもLBSのサービスじゃないかなと、携帯デバイスが大きくて止まっているだけで、みんな連携するのではないかと思っている。そうすると発想をもっと柔らかく大きく捉えることができるのです。技術的な所では、ロケッコはHTML5で制作しており、ブラウズできるデジタルサイネージであれば表示連携可能です。街のサイネージをまきこんだオリエンテーリングみたいなことが可能です。
メッセージ

デジタルサイネージは魔法ではないので、ビジョンのある、ちゃんとした運用の指導、提案と、運用のコストをちゃんと見積もって、しっかりと長く回るような提案を責任持ってやっていかないと、マーケットが育たないと思っています。業態によって役割が違うので一概に言えませんが売りっぱなし御免で後は知りませんというのは、自戒を込めて気をつけなければいけない。関わるものの責任としてちゃんとした提案と運用までを含めたサポート、提案して、理解を得た上で運用する体制を作っていく形にしないといけないと思っています。私は小さな会社で頑張っていますがこのようなことは業界全体で意識しないと産業が育たない。逆に潰して行くことになることになると思う。またせっかくのコンソーシアムで出会ったご縁なので。これからも様々な会員の皆様とご一緒したく、それぞれ知見を出し合いお客様の解決ができればと思います。

HP:
http://insect01.com/
http://locaco.jp/
https://www.facebook.com/kawamurayukiharu



Mail: kawamura@insect01.com

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