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2010/05/18

ホワイトスペースを活用したデジタルサイネージの可能性について


尾崎常道 氏

(株)ネクストウェーブ 代表取締役社長

ワンセグ対応の携帯が既に7,000万台を超える状況となり、これらの携帯をサイネージとの連携ツールとして活用するアイディアがいろいろ検討されています。しかしながら、残念なことに現状ではエリアワンセグの利用に関するルールがなく、実験的あるいはイベントなど短期間での利用などに現実的には制限されてしまっています。こうした中で、デジタル放送などの周波数で地域によっては未使用のもの(ホワイトスペース)を開放する議論が総務省で始まり、現在その実現に向けた検討が進んでいます。いよいよサイネージと携帯連動を具体化する好機到来!
今回は、中村代表の目指す「通信放送融合」を具体的に実現するAMIO(All Media In One)プロジェクトの実証実験においてまとめ役を務められ、またIPDC(IP Data Cast)フォーラムの事務局長をも兼任されている、株式会社ネクストウェーブ代表の尾崎常道氏に、ホワイトスペースを使用したデジタルサイネージの可能性についてお話を伺いました。
ホワイトスペースとは?
ホワイトスペースとは代表的にはテレビ放送用電波の空き周波数のことです。現在、ホワイトスペースを活用することで新たな産業や雇用を活性化させることができないか、国を挙げた検討が行われています。これにより地域におけるコンテンツ発信の分野でも新たなサービスの可能性が飛躍的に広がるものと期待されます。
米国ではブロードバンド回線の加入系部分でホワイトスペースを活用する方法が進んでいるようですが、我が国では7,000万台を超える普及がなされているワンセグ携帯をインフラとするエリア放送へのニーズが非常に高く、コンテンツの地産地消を推進するインフラとして注目が集まっています。その意味ではデジタルサイネージと非常に似ている側面があり、ある意味で競合しますが、ある意味では上手い連携さえできれば、シナジー効果が大いに期待できるはずと考えています。
我々はさらに、単純な放送ということよりも、データ配信のインフラとしてエリアワンセグの可能性に期待しています。現状のワンセグ対応携帯電話がそのまま使えるわけではありませんが、エリアワンセグでIPDCが実現されれば、サイネージやその他機器へのデータ配信やキャンパス内等の特定エリアでの電子書籍配信など、さまざまな用途に使えるようになるからです。
AMIOプロジェクトとの関係はどう考えたらいいでしょうか?
私たちが行ったAMIOプロジェクトはデジタル放送を活用した新聞、雑誌等の紙メディアの完全デジタル配信を目指し、昨年度は実際にホワイトスペースを活用したIPDC対応のエリアワンセグでの実証実験を行いました。ここで、AMIOとはホワイトスペースで活用できるアプリケーションのひとつと理解いただければいいでしょう。
なお、AMIOについて若干補足するならば、AMIOのもう一つのポイントは、ワンソースの入稿データをマルチデバイスに配信できるデジタル流通プラットフォームのアーキテクチャの検討にあります。様々なデバイスごとにコンテンツフォーマットが違っていて、コンテンツ提供サイドにとっては煩雑な時代になってきています。ユーザーから見ても、自分の所有する電子書籍端末で、どのフォーマットのコンテンツが買えるとか買えないとか、そういう意識をしなくてはいけないこと自体が、デジタル出版の普及拡大の妨げです。それを解消する事がAMIOの発想です。ワンソース入稿で全ての紙メディアコンテンツを自動でデジタル変換し、様々なマルチデバイスへ配信する、その理想形の実現に向けて、流通の中で自動変換をかけ、デバイス毎の表示制御に必要な制御情報をメタデータとして付加するなど、さまざまな工夫を検討しています。
ホワイトスペースをデジタルサイネージビジネスに活用することは可能でしょうか?

大いにありますね。先ほども述べましたが、ホワイトスペースは地産地消のインフラです。デジタルサイネージも基本は同じではないでしょうか。ですので、そのシナジー効果がでる形を如何に実現するか、これは重要な課題と認識しています。


たとえば、サイネージで気になる情報を発見したら、即座に携帯端末に取り込むことができれば、そのままウェブにアクセスし、必要な情報を取得できます。ナビを起動し実際に行くことも、あるいはウェブでの商品購入も思いのままです。そういった動線を如何にスマートに演出するか、そこにホワイトスペースを活用したエリアワンセグの可能性が秘めていると思います。
さらには、サイネージそのものへの誘導も出来ると考えます。特定のエリアに入ると携帯端末にPushで通知し、サイネージに気づかせてくれる。今まで意識していなかったサイネージでも、自分の趣向に合った情報の際には携帯端末が教えてくれる、そうなればサイネージのメディア価値は抜群に向上するのではないでしょうか。その場に居るからこそ欲しい情報、しかし今まで気がつかずにいたものが、ホワイトスペースの導入によりスマートなコンシェルジュメディアになる。そういった世界を実現することが狙いだと認識しています。

デジタルサイネージでの実用化に向けた課題はなんでしょうか?
現状、総務省における検討では、まずはニーズの顕在化とか、持続的なビジネスモデルのフィジビリティの検証が主要なテーマになっていると思います。周波数をある目的に解禁する以上は、貴重な資源に鑑みて、十分なニーズを顕在化させることが重要です。その意味では、今はさまざまな実証実験をもっと積極的に推進すべきフェーズだと思います。先ほど述べましたが、スマートなシナジーということ、言うのはたやすいですが、実際にはいろいろな方法論があり、それだけに色々と検証を積まないとユーザーに受け入れられる動線は簡単には実現できないと思います。
また、これも前述しましたが、IP化することで(既存の携帯端末は使えませんが)新しいニーズも生まれてくると予想されます。もちろんIP化のメリットはネットコンテンツとの共有化によるコスト削減なども大いに期待できます。IPDCフォーラムの中では今年度の活動方針の中で、この「ホワイトスペース×IPDC」について取り上げよう、という声も出てきており、是非とも検討を進めていきたいと考えております。皆様の積極的な参加を心からお待ちしております。
最後に一言お願いします!
繰り返しになりますが、ホワイトスペースは地産地消メディアのためのインフラだと思います。サイネージと非常に似ており、その似た者同士をうまく「連携させ」、「相乗効果を作り」、「持続的なビジネスモデルを実現する」、それがポイントではないでしょうか。
その可能性を追求すべく、今年もいろいろな取り組みをして参りますので、皆様にも引き続きよろしくお願いいたします。

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尾崎常道 氏
(株)ネクストウェーブ 代表取締役社長
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中村伊知哉
デジタルサイネージコンソーシアム 理事長